「猟奇エロチカ 肉だるま」
制作国:日本 1999年 監督:穴留玉狂


都内のメーカー直営店で販売されていたDVD-R。ジャケットに書かれた単語と写真からして既にヤヴァ過ぎです(゚Д゚;)



AVの撮影現場が一転、バラバラ殺人現場に・・・目を覆わんばかりの地獄絵図があなたを襲う!ギャー!!


リアルな作風と特撮技術で、あたかも実録の殺人ビデオであるかのような演出を狙ったセミ・スナッフ系のスプラッターAV。アダルトビデオならではの容赦のないエログロ描写と主演女優の怪死という曰く付きで話題となった90年代スプラッターの問題作である。

女優の頭をバットで殴り、昏倒したところをベッドに拘束するスタッフ。男優とのカラミ中に鉈で足を切断したかと思えば、舌を切り刻み、腕を切断、腹を裂いて内臓を掴み出して内臓ファック。最後は女優の顔面に鉈を振り下ろして終わり。内容を列挙してみてもホント酷い内容だよな。悪趣味極まるぜ(^−^;)

AVで、しかもこんな内容だからハードコアなマニア層に向けた変態ビデオのように思われるかもしれないが、この「肉だるま」はアダルトビデオとしてというよりは、最初からスプラッタービデオとして重きを置いて作られたものだ。それはこのビデオの放つ怪しげな雰囲気からも窺い知れる。

こういった作品の先駆者としては「Snuffスナッフ」や「ギニーピッグ2 血肉の華」があるが、ベッドに拘束した女優を徹底してバラバラに解体するというモチーフからも特に「ギニーピッグ2 血肉の華」の影響を強く受けているのがわかる。

撮影現場で突如、女優を殺害するという内容は「Snuffスナッフ」のパロディだが、こうした作品の面白さはフェイクかリアルかの境界を曖昧にさせる演出にある。

古くは「世界残酷物語」があるが、70〜80年代には人の死の瞬間を謳ったショッキング・ドキュメンタリー映画が量産された。

人間がライオンに喰われる「グレートハンティング」や「ジャンク/JUNK」(勿論、どちらもヤラセ)などがそうだが、先に挙げた「Snuffスナッフ」や「ギニーピッグ」、また「食人族」など、こうした疑似殺人を狙った作品の魅力とは映像内で繰り広げられる殺人がフェイクなのかリアルなのかを曖昧なまま提示する胡散臭さである。そんな胡散臭さに客は好奇心をひかれ、怪しげな危ない雰囲気を楽しむのだ。

しかし90年頃になるとブームも去り、こうした怪しげなゲテモノビデオも時代ともに廃れていった。そんな中、世紀末に登場したこの「肉だるま」が注目されたのはその悪趣味極まる強烈なゴア描写もさることながら、風化しつつあった70年代〜80年代のショッキング・ムービーの怪しさを感じさせるところにあるだろう。

ビデオ発売前に出演した女優が謎の怪死を遂げているという曰く付きのエピソードがさらにこのビデオの怪しさに拍車をかけ、インターネット上で都市伝説的に広まったというのもまた興味深い話である。

容赦のない悪趣味なスプラッター描写とセミ・スナッフを狙ったリアル指向な作風。曰く付きの逸話も含めて、往年のショッキング・ムービーの持つ怪しさを兼ね備えた世紀末の危険なカルト・スプラッタービデオだ。本当に危険だから、よいこは間違っても見ちゃダメだよ!


GO BACK
inserted by FC2 system